Man using scissors to remove the word can't to read I can do it concept for self belief, positive attitude and motivation

最近やたらと話題の生成AI。我々デザイナーが使用するPhotoshopなどのグラフィックソフトにも取り入れられ、特定の画像合成や切り抜きなどはかなり精度が上がってきて、とても簡単に素早く下処理ができるようになってきました。一方、AIが我々クリエイターに変わってデザインやイラスト制作自体を行うサイトなども出てきており、つい先日お客様からお送りいただいたAI作のロゴを拝見しましたが、こちらはいつの時代のロゴ?という感じで、実用レベルにはまだ暫く掛かりそうです。AI作の詩もありきたりで凡庸な作品でした。ただチェスや囲碁の特化型AIがそうであったように、こちらも恐るべきスピードで上達していくのかもしれませんね。

今はまだビッグデータから取り込んだ過去作品の最大公約数的な作品ばかりですが、そのうちオリジナルの枝葉を付けた最小公倍数的な作品に進化し、いつかは素数のような唯一無二の作品を生み出すようになるかもしれません。そうなれば我々人間には太刀打ちできないところまで行ってしまうのでしょうね。
ただ幸か不幸かグラフィックデザイン業界は収入ワーストTOP10の常連、詩も歌詞以外殆ど市場ベースに乗らないという事で、そのための特化型AIを生み出す経済的メリットが薄いために、自動運転や音声認識など他の特化型AIに比べて開発が大幅に遅れているような気がします。
まあそれもウェブに介入して流行を操作するようなAIを作り、古くさいロゴや幼稚な詩を流行の先端に操作するような汎用型AIができれば個別の市場価値に固執する事なく、流行も株価も思いのままって事になってしまうのかもしれませんが。

これから人類を模倣する汎用型AIが目指すものが、人類そのものなのかそれとも人類が理想とするものなのかによって、世の行く末は大きく変わってくるのでしょうね。ウェブ上に溢れた人類のエゴそのものを先生として学習するならギスギスした社会になりそう。逆に神を手本として発達していくならSF映画の様な審判の日がやってきそうで、それはそれで怖い(^^;)

色々と思うところはありますが、今回AIの作品をいくつか見て、自分自身すごく勉強になった点が一つあります。AIはいわば知識と疑似経験の化け物です。その作品がつまらないのは知識と経験のみから生まれた作品だから。基本的に若いデザイナーの作品が斬新でベテランデザイナーの作品ほどつまらなくなるのは、ベテランになるほど知識と経験の比率が高くなるからなんだなと改めて思った次第です。んなわけで、最近物忘れが酷くなってきた僕は、そろそろ再び斬新な作品を生み出し始める筈♪