部分型押し箔サンプル
2022年も最終日。今年もあっという間に走り去っていきました。島に来て、ノンビリゆっくりスローライフを楽しんでいるつもりですが、どうも暮らしのペースと時間の流れる速度は反比例するようです。この調子だと60歳になる頃にはポルシェを抜いてる筈。。

さて、車など身の回りの品々がどんどん進化していくように、印刷や加工技術も15世紀の中頃にヨハネス・グーテンベルクが活版印刷機を発明して以来、少しずつではありますが進化をしています。今回、株式会社B&C Healthcareさまからご依頼いただいた名刺デザインに採用したのは、箔押しの一部に金属製の模様型をプラスして非常に高圧で圧着する特殊箔加工です。二色使いのロゴのグレー部分を艶あり箔で、紺藍の部分を梨地の箔で表現しました。樹脂を熱処理して盛り上げるバーコ印刷の様な科学的処理ではなく、ゴリゴリのアナログ表現です。バーコ印刷はバーコ印刷で、ポップな質感や現代的な印象が魅力なのですが、この特殊箔にはどっしりとした存在感や伝統工芸品の様な重々しいオーラがあります。
欧米の最新医療と日本の医療現場を繋ぐパイプ役を長年にわたって担われてきた代表者様が新たに設立された法人という事で、先進性や目新しさも重要な要素ではありますが、重厚感や地に足の着いた信頼感の方が遥かに大切だと考えてこの加工を採用しました。お陰様で仕上がりを大変喜んでいただきました。

今回の名刺は弊社を除き、3社の作業工程を経て製作しています。各社の規模は大小様々ですが、全ての会社のオペレーターや職人さん達が自分の職分をきっちりこなしてくれたお陰で、この名刺をご使用いただくクライアントにふさわしい名刺に仕上がりました。我々デザイナーが好き勝手にデザインできるのも、機械の性能だけではどうしても生じてしまう誤差を職人さん達がその経験でカバーしてくれるからです。それらの技術があって、はじめて名刺は使用者に負けないオーラを持ちます。何度も何度も、ややこしい注文にご対応いただいた箔会社の社長様には心から感謝致します。

そうこう言ってる内に、何かと騒がしかった今年も後8時間を切りました。印刷機と共に三大発明と言われた羅針盤と黒色火薬は、それぞれGPSナビゲーションシステムと核爆弾にまで進化を遂げて、最新兵器の中心を担っています。印刷機くらいのノンビリ進化が平和なのかもしれませんね。