フォルトナのビジュアル

2025年3月2日に兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて開催される演奏会「Carmina Burana~Carl Orff~」のフライヤーとチケットデザインを担当し、無事納品させていただきました。

少し気恥しいですが、音楽監督で指揮者の河﨑 聡先生から、とても嬉しい言葉をいただいたので紹介させていただきます。

〜河﨑先生のコメント〜
北本さんのデザインにはいつも生と死が描かれています。 そして霊的なインスピレーションを感じます。 霊的な世界感、ここが彼の作品に惹かれるところです。

人間、幾つになっても、やっぱり褒められるのは嬉しいものですね。しかも尊敬する人生の大先輩からのお言葉なので猶更です。僕は褒められて伸びるタイプですので、きっと半年くらいは楽しくご機嫌で仕事ができるはず。。

メインビジュアルは、第一楽章「全世界の支配者なる運命の女神」から、螺旋状に渦を巻く時間の流れ、複雑に絡み合う運命の歯車を背景に、妖しくこちらを振り返る運命の女神フォルトーナ。初期フランドル派のファン・エイクが描く人物のように、リアルなのに違和感があり、どこか非人間的で「人ならざる者」という印象にするため、あえて全く違う表情の複数の人間の顔を合成し、肌は人形のような質感に、羽はイカロスの蝋細工のような質感にしました。

「カルミナ・ブラーナ」という曲名は聞いたことがないという方も結構いらっしゃるかもしれませんが、ティンパニやシンバル・銅鑼など強烈な打楽器の編成と大合唱で始まる出だし部分の音楽は必ず耳にしたことがあると思います。ドラマやゲームのBGM、格闘技の入場曲などにもよく使われてますし、往年のパチスロファンには「アナザーゴッドハーデス - 奪われたZEUS」のBGMとして脳裏に刷り込まれているでしょう。僕にも苦い思い出が・・・。
まあその話はさておき、「カルミナ・ブラーナ」というと、カール・オルフのカンタータの方が有名ですが、元々はベネディクトボイエルン修道院で19世紀の初頭に発見された、13世紀頃に書かれた様々な詩篇を集めた写本なのだそうです。書いたのは当時の修道士達ですが、その内容は良くいえばとっても人間的、悪くいえば生ぐさ坊主。酒や男女の色恋沙汰の話だらけです。
修道士って、そんなんでいいんですかね?(^^;)
検索エンジンのAIによると「修道士とは、キリスト教において清貧・貞潔・服従の3つの修道誓願を立て、修道院で共同生活をする男性を指します。修道士は、所属する修道会が掲げている目的のために活動します。修道会によって目的は異なりますが、修道生活の禁欲的伝統は古代にさかのぼります。」と出てきます。AIさん、ちょっとディープラーニング(深層学習)が足りないんじゃないかしら。。

しかし、13世紀といえばイスラム勢力におされて十字軍が衰退していった時期と重なります。運命に翻弄されながらも、人間の愛と欲望を赤裸々に歌い上げるカルミナ・ブラーナの詩歌からは、逆に人間の逞しさを感じます。この未だに自ら鼓動し続けているような詩の魂に、二十世紀の作曲家カール・オルフが音楽という強心剤をぶち込んだのが「カルミナ・ブラーナ」です。その圧倒的な音圧の鼓動は、きっと貴方の心臓とも共鳴するはず。来たる3月2日は、ぜひ西宮の芸文大ホールで、ご自身の心臓のありかを思い出してください。

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