明日飛行機が飛ぶか心配してましたが何とかなりそうです。まあ、いずれにせよ自然には逆らえないので仕方ありませんが(^^;)
先日のブログで「理」に関して軽く触れました。今回はもう少し深く潜ってみたいと思います。
最初に一つ申し上げておきますが、今回のブログは、世にある沢山の〇〇理論というものを否定するものではありません。大きな方向性を絞るには大変重宝なものです。ただこの〇〇理論で人の世の理が全部わかったつもりになっていては、商業デザイナーとして或いは広告主として、消費者の行動を見誤りますよ、という一意見です。
皆さんは伊藤仁斎という人をご存じでしょうか?17世紀頃の人で、儒学の解釈に関し、当時主流だった朱子学の「理」を重んじた解釈に対し「情」を重んじた解釈をした、つまり理論的で血の通わない「理屈」よりも実社会に即した血の通った「情緒」を大事にした人です。
この人の有名な言葉で 「道は行うところを以ていう、活字なり。理は存ずるところを以ていう、死字なり。」というのがあります。全ての物に自ずから理は在るものですが、そこに人の生活が無ければ意味はありません。理論の先に人の生活が見えて初めて道理・・・合理性は生まれます。
理論というのは誤解を恐れずにいうと「人」を「社会」というザックリ大きな塊で行動傾向を一纏めにしたものです。社会というと御大層な物のように感じますが、社会なんてミツバチですら形成します。理論は単純に働き蜂の本能部分の行動傾向を纏めたものですが、人には本能以外に「情緒」というものがあります。情緒は時代と共に常に変化するものです。ミツバチの様に8の字ダンスだけで同じ方向に飛んで行ってはくれません。
確か2007年だったと思いますが、秋葉原にあるAKB48の劇場を貸し切って秋元康さんに講演をお願いしたことがあります。この時のお話しで非常に印象に残っているのが、かつて「夕やけニャンニャン」という番組を放送してた時、おニャン子クラブのあるメンバーが休んでおり、その理由が「学級当番で放課後教室の掃除があるから」と聞いた瞬間に、このアイドルグループは売れる!と確信したというお話でした。若い世代の方はご存じないかも知れませんが、おニャン子クラブはそれまで雲の上の存在だったアイドルを等身大の高校生のままのコンセプトで売り出し、非常な人気を博したアイドルグループです。
秋元康さんの凄いところはこの「情緒」の捉え方の鋭さです。この鋭さはオーディエンスを大きな塊として客観的に見ていては絶対に生まれません。塊ではなく点からオーディエンスの立場で主観的に見ることで初めて生まれます。まあ、凡人の僕はそうじゃなければ捉えられないって、そんな気がするだけですが。。
時代の流れを変える事なんて、どんな凄腕のプロデューサーでもどんなカリスマ的政治指導者でも残念ながらできません。彼らはどうしようもなく変わっていく時代の流れを其処に生活する人々の情緒と共に捉え、流れの中心に歩み寄り、その先端の向かう先を真摯に見つめ続けた人々です。
とても素敵な異性が現れたとして、その人の好みを自分に合わせようとするバカはいませんよね?自分から相手の好みに歩み寄らなければ上手くいかないことは自明です。ならば商品を売るためにしなければならないことは分かりますよね。当たり前ですが、理論より先に消費者の気持ちになって考える事、消費者の好みに歩み寄る事です。自然にも時代にも消費者にも逆らわないことです(^^)d